Dieterich Buxtehude (1637-1707?)"Passacaglia in D minor" D. ブクステフーデ パッサカリア ニ短調 (BuxWV161)
そのバッハはアルンシュタットにある教会のオルガニストの在職中の1705年に休暇において約400km離れたリューベックまで徒歩で向かってD.ブクステフーデのオルガン演奏・作曲を学び、その時の学びは以後のバッハの作曲に活かされたとされる。ブクステフーデの影響を受けた例の1つとしてパッサカリアがある。バッハ作曲「パッサカリア ハ短調(BWV582)」は1710年ごろ、まだバッハが若かりし時に作曲されたとされる、主題提示・20の変奏・終盤のフーガからなるドラマ性を持った約15分の曲であり、18世紀オルガン曲最高傑作とも目される曲である。その下地となったのが今回演奏するブクステフーデのパッサカリアである。そもそもパッサカリアというのは緩やかな3拍子の曲で、バスで4~8小節の短い旋律を「繰り返し」、上の声部が展開されていくというのが特徴的な形式の曲である(なおシャコンヌも「繰り返し」という点で類似している)。ブクステフーデのパッサカリアは4小節のバスの定型を持ち、どこか祈りにも近いような荘重さを感じられる曲である。ブクステフーデが得意とする自由奔放さ・即興性はこの曲において転調や同音型の反復などに見られる。この曲も徐々に盛り上がるようなドラマ性があり、自分が初めて聞いた時は鳥肌が立った。